2011年3月11日 14時46分から15時11分までに発生した地震の解析

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プレート境界の破壊過程は2011年3月11日14時46分に発生した地震の震源情報だけを元に得られています。その他の制約、例えば破壊速度の設定や滑りの抑制(一つの断層は一度しか滑る事はできない)、などは使われていません。

14時46分から15時11分までに発生した地震

単純震源遡及法を使って最初の1500秒を連続的に解析すると幾つもの大きな地震が発生していることが分かります。

まだ滑りが起きていない領域で地震が起きる場合は滑った場所の端から始まることが見て取れます(誘発地震)。
550秒あたりでは二つの余震が一度に起こっているのが明らかで、単純震源遡及法を使うと複数の震源が特定できることが分かります。
1050秒と1250秒に起こる二つの余震は殆ど同一です。
この動画の色の飽和レベルは時間によって変わっているので、色の濃さとエネルギーの放出量は比例しません。

単純震源遡及法の結果から地震発生時間、震央位置、そしてマグニチュードを得る事ができます。下のテーブルは単純震源遡及法で導きだされた地震情報を気象庁とアメリカ地質研究所が発表した震源情報と比較しています。時間はマグニチュード9の地震発生からの時間(3月11日14:46)からの秒数。

単純震源遡及法 気象庁 アメリカ地質研究所
地震 ID 時間 (s) 緯度 経度 マグニチュード 時間 (s) 緯度 経度 マグニチュード 時間 (s) 緯度 経度 マグニチュード
M 0 8.4 38.103 142.860 9.0 5 38.290 142.400 9.0
A300 37.1 142.3 6.8 309 36.733 142.028 6.8
B490 37.1 142.3 6.6
504 36.717 140.575 5.7
C555 36.9 142.0 6.4
D560 37.1 143.0 6.8
667 39.195 142.382 5.7
E695 37.9 141.9 6.6 707 37.675 141.910 6.4
F845 37.9 142.8 6.9
G1045 36.5 141.9 6.5
1128 37.520 141.625 5.9
H1180 39.1 142.3 6.6 1182 39.042 142.397 6.4 1185 39.010 142.290 6.4
I1250 36.6 141.9 6.4 1263 36.400 141.860 6.4
J1345 40.0 143.1 7.4 1355 39.838 142.780 7.4

気象庁とアメリカ地質研究所震源目録でマグニチュード6以上となっている地震は単純震源遡及法でも識別できる事が分かります。単純震源遡及法を使うと、目録に掲載されている以外の地震も特定することができます。動画などを制作する際に使われる色のレベルを下げると、このテーブルにまとめられている以上の地震を確認することができます。この初期結果報告では読み取りやすい大きな地震だけを取り上げていますが、単純震源遡及法が震源算出にも応用できることは明らかです。

地震Mとの破壊領域の重なり方から地震A, C, D, E, G, とIは地震Mの余震であると考えられます。これらの地震は比較的本震終了直後に発生し、本震でエネルギー放出量が低かった領域でおこりやすくなるようです。対照的に地震F, H, とJの破壊面積は地震Mとの重複は少なく、誘発地震と考えられます。地震Bはプレート境界型の地震では無く、地殻内の地震である可能性があります。

地震M発生から25分以内に起こった全ての地震を合わせると総合マグニチュードは8.8になります。この値は地震M単独マグニチュード(8.4)より0.4高くなります。このマグニチュード概算法は不確定な要素を含みますので、気象庁とアメリカ地質研究所から発表された地震Mのマグニチュード9.0を基準として考えると、誘発された地震と本震直後に起こる大きな地震がすべて一度におこったとすれば超本震のマグニチュードは最高9.4であることになります。

今回使用したデータを用いた単純震源遡及法による震源決定ではマグニチュード6.3以下の地震の震央は確定できますが、マグニチュードは6.3かその少し上に過大評価されてしまうことが良くあります。マグニチュード精度を上げるための研究を続けていきます。

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ハーバード大学地震学のページ(英語)

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